経営者に必要なのは「ビジョン」「リーダーシップ」「バランス感覚」
■ペルソナ:
採用上の課題や、採用時に重視している点を教えてください。
■法田様:
経営者人材が常に不足していることは課題です。当社では、いわゆるプロフェッショナル経営者といった方を採用するよりも、「プロフェッショナル経営者を一緒に目指す人」を採用することがほとんどです。子会社社長や中堅・中小企業の経営経験など何らかの経営感覚を持っている必要はありますが、バリバリのプロフェッショナル経営者でなくていいです。それよりも「この人が会社に入って社員のみんなに馴染めそうか、今のオーナー社長の席に座っていることを想像して違和感がないか」といった観点で、中小企業で手触り感をもって経営できるかどうかといった点を重視しています。
経営者として求める要件を具体的に上げるとすれば、「ビジョン」「リーダーシップ」「バランス感覚」の3つを常に意識しています。
まず、この人がこの会社のリーダーになったらどんなビジョンを描いてくれるのか、それはファンドが思い描いて投資したものと重なるのか、それ以上なのか、会話をする中で探っていきます。
経営者は社内外の人を巻き込んで動いていかないといけないので、リーダーシップも重要です。中小企業で席に座っていて経営ができるわけもなく、みんなと一緒に苦労してリーダーシップを発揮してくれる人なのかどうかも見ています。
中小企業は大企業以上にさまざまな人と関わるため、バランス感覚も必要です。株主であるファンド、LBOローンの出し手である銀行とも付き合っていかなければなりません。また、社内では、若手からシニアまで従業員とも目線を合わせていく必要もあります。そういう中でバランス感覚を持っていろんな人と付き合っていけるのかは重要ですね。
■ペルソナ:
そういった資質を見極めるためには、採用までには何度も面接を行うのでしょうか?
■法田様:
基本的に、対面1回の面接で決めています。会った瞬間の雰囲気や会話のなかで、その人が投資先企業の人と一緒にやっていく姿がイメージできたら採用を決めています。
1回目の面接から社長が担当するのは珍しいとよく言われます。でも、応募書類だけ見ていると、「なんとなく今すぐじゃないけど会っておこうかな」とか、そこまで採用のイメージができない場合でも、実際会ってみるとこの人ならこっちよりもあっちがいいとか発想が広がることもあるんです。採用には至らなくてもお付き合いが続いている方もいますし、そういう閃きがあることは、社長が初回から直接面接する良さですね。
ただ、それもエージェントとの信頼関係があってこそだと思います。変化球を投げられても何か感じて投げてくれたボールだろうから1回受け止めておこうという信頼感があると、こういう閃きにつながります。