メザニンファンドに関わる経営ポジションを探しているなら、先に押さえておくことが3つあります。
ひとつ、メザニンファンド本体は、経営者をほとんど採りません。 ふたつ、席が空くのは投資先のほうで、その多くはCFO、あるいは財務を見る取締役です。みっつ、だから探すべきエージェントは「ファンドに強い」ところではなく、案件の資本構成を説明できるところです。
理由は、メザニンというお金の性質から説明がつきます。
※メザニンとは: 英語で「中二階」。銀行の通常融資(シニアローン)と、株式(エクイティ)の間に入る資金のことです。優先株式、劣後ローン、新株予約権付社債といった形を取ります。返してもらう順番は銀行より後、株主より先。その分、金利は銀行より高く設定されます。
なぜメザニンの出し手は、社長を送り込まないのか
バイアウトファンドは、株式の過半数を取って経営権を握ります。経営権を持つ以上、経営チームの入れ替えは投資家自身の仕事です。だから社長やCxOを外から連れてきます。
メザニンの出し手は、ここが違います。過半数の株を持たないことが前提です。少数株主、あるいは債権者に近い立場で入ります。
立場が違えば、リターンの作り方も違います。バイアウトは企業価値を何倍にもして売却益を取る。メザニンは、約束された利回りを期間内に確実に回収することが基本線で、そこに株式上昇分の取り分が乗る形です。
ここから結論が出ます。メザニンの出し手にとって最大のリスクは「会社が伸びないこと」ではなく、**「約束どおり返ってこないこと」**です。だから関心は成長戦略よりも、キャッシュフローの安定と財務規律に寄ります。社長を替えることよりも、数字が見える状態を作ることに投資家の関与が向かいます。
空く席がCFOに寄る理由
メザニンが入った会社では、投資契約に財務制限条項が付くのが通例です。
※財務制限条項(コベナンツ)とは: 「自己資本比率を何%以上に保つ」「有利子負債をEBITDAの何倍以内に収める」といった、借り手が守るべき財務上の約束です。外れると、一括返済を求められたり、投資家の同意権が強まったりします。
この条項があると、経営の実務が変わります。月次の着地見込みを早く正確に出す、設備投資の前に抵触可能性を試算する、抵触しそうなら事前に投資家と話す。これは財務の仕事であり、同時に経営判断の仕事です。
できる人がいないと、社長が毎月この作業に時間を取られます。だから外から迎えるのはCFOになります。社長を替える話ではないので、社長は残り、その横に席がひとつ作られる——これがメザニンの入った会社で起きやすい形です。
候補者として確かめるべきは、株主名簿ではなく契約書
メザニンが入っている会社に経営者として入るとき、あなたの権限は株主構成からは読めません。 投資契約の同意事項に書かれています。
典型的には、一定金額以上の投資、新規借入、役員の選解任、事業の譲渡といった項目に、投資家の事前同意が要る形になります。株式の持分は数%でも、これらの項目では事実上の拒否権を持ちます。
ここを知らずに入ると、着任後に「決められると思っていたことが決められない」が起きます。聞くべきは「株主は誰ですか」ではなく、「私の裁量で決められない項目は何ですか」です。
これは悪い話ばかりではありません。同意事項が明確な会社は、何が自分の裁量かもはっきりしているということです。曖昧なオーナー企業より動きやすい、という評価の仕方もできます。
エージェントに投げる3つの質問
案件の在庫がエージェントごとに違う理由は役員の転職エージェントは「どこがいいか」では選べないで書きました。ここでは、メザニン絡みの案件を扱えるかどうかを見分ける質問を挙げます。
- 「この会社の資本構成を教えてください。メザニンは入っていますか」 — 「ファンド系です」で止まる相手は、発注元の種類しか知りません。優先株なのか劣後ローンなのか、答えが返るかどうかを見ます
- 「投資家の同意が要る項目はどこまでですか」 — 契約条件まで聞ける関係があるかが分かります。即答できなくても、「確認します」と言って本当に確認が返ってくるなら十分です
- 「この席は、既存の経営陣のどこを埋める席ですか」 — メザニン案件では社長の交代を伴わないことが多く、だからこそ既存社長との役割分担が曖昧なまま募集が立つことがあります。ここが整理されていない案件は、着任後にもめます
3つとも、答えられる人は限られます。ただ、答えられないエージェントが悪いのではなく、その案件を深く預かっていないだけです。質問の目的は相手を試すことではなく、情報がどこまで届いているかを測ることにあります。
探し方として、現実的なこと
メザニンが入った会社のCFO案件は、公開媒体にほとんど出ません。社長が残っている状態で財務トップを入れ替える、あるいは新設する話なので、社内に知られる形で募集できないからです。
したがって、求人を検索して見つける類のものではありません。 資本構成を把握している相手に、自分の経験を預けておく形になります。預けるときは「CFOを探しています」ではなく、**「コベナンツ管理と投資家対応の経験があります」**と具体的に伝えるほうが、案件と結び付きやすくなります。
当社はPEファンド投資先や事業承継など、非公開の経営ポジションを扱っています。資本構成が入り組んだ会社の財務トップの席も、その中に含まれます。経営ポジションの登録から、いまのご経験をお聞かせください。
